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老犬の下痢|ブログ|前橋市のどうぶつのウェルネスセンター【動物病院併設】

老犬の下痢

老犬は下痢を起こしやすい

老犬は健康な若い犬と比べて体の抵抗力や臓器の希望が弱くなってきており、下痢を起こしやすい傾向にあります。一過性の下痢だったとしても、老犬は体力が衰えているため長引いてしまったり、脱水の原因になってしまったりすることがあるため油断できません。そのため、老犬が下痢をすると飼い主様もとても心配になってしまうことでしょう。今回は老犬によく見られる下痢症状について、原因や治療法、自宅での対処法などを詳しく解説していきます。

 

老犬に多い下痢の原因

老犬に多い下痢の原因としては、次のようなものが挙げられます。

・消化不良

老犬になると消化機能が衰えてきます。消化液や消化酵素の分泌不足などが要因として考えられます。食べたものが十分に消化されないことで腸管の中の浸透圧が高まり、腸からの水分吸収が妨げられて下痢が引き起こされます。

・環境ストレス

老犬になると周囲の環境の変化に弱くなり、ストレス性の下痢を起こしやすくなります。よくあるストレス要因としては、温度変化が挙げられます。老犬は体温調節が苦手になることが多く、少しの気温の変化でもストレスを感じてしまいます。他にも住居の変更や家族構成の変化、生活リズムの乱れなどもストレスになり得るため注意が必要です。

・腸内バランスの乱れ

健康な犬の腸管の中にも細菌が無数に生息しており、適切なバランスが保たれていれば問題にはなりません。老犬ではその細菌バランスが乱れてしまい、下痢が生じることがよくあります。

・膵炎

老犬では膵炎の発症リスクが高まります。膵炎を発症すると下痢や吐き気などの症状が見られることがあります。膵炎には慢性膵炎と急性膵炎がありますが、どちらの場合も悪化すると命に関わることがあるため、注意が必要です。

・肝炎、胆嚢炎

肝臓や胆嚢の炎症が起きていても下痢の原因となります。これらの臓器に炎症が起きていると、下痢や吐き気の他、黄疸症状が見られることもあります。目や口の中の粘膜が黄色っぽくなっているときには注意が必要です。

 

・慢性腎臓病

老犬では慢性腎臓病を発症しやすくなります。慢性腎臓病が進行すると、食欲低下や体重減少、脱水、貧血などに加えて、消化管潰瘍による下痢を生じることもあります。老犬でもともと慢性腎臓病をもっていることがわかっている場合は、進行予防の治療を行うことが大切です。

・感染性腸炎

老犬は免疫力が衰えているため、若い犬と比べると感染性の腸炎を発症する確率が高くなります。感染性腸炎はカンピロバクター、クロストリジウムなどの細菌、犬パルボウイルスや犬コロナウイルスなどのウイルス、犬回虫や犬条虫などの寄生虫、コクシジウムやジアルジアなどの原虫により引き起こされます。症状としては下痢のほか、嘔吐や体重減少、食欲不振、脱水などが考えられます。老犬では重症化しやすいため注意が必要です。

・腫瘍

老犬になると、腫瘍の発生リスクが上がります。消化器型リンパ腫などの腫瘍が発生すると、慢性的な下痢の原因となります。

 

下痢の診断

老犬に下痢が見られる場合には、早めに動物病院を受診して検査を受けることをお勧めします。動物病院で実施される検査としては、次のようなものが考えられます。

・血液検査

血液検査を行い、下痢の原因を推定します。血液検査では脱水の有無や炎症反応、肝臓の項目、腎臓の項目などを確認します。

・糞便検査

糞便を採取して顕微鏡で観察することで、寄生虫の有無や細菌バランスの乱れを確認することができます。

・レントゲン検査

腹部のレントゲン検査を行うことで肝臓や腎臓などの臓器の腫れ、腫瘍を疑う病変の有無、腸内ガスの貯留などを確認します。

・エコー検査

腹部のエコー検査を行うことで、肝臓や腎臓、腸管などの構造、大きさ、炎症、腫瘍の有無などを確認することができます。

 

下痢の治療

下痢の治療内容は原因によって異なりますが、下記のような治療が共通して行われることが多いです。

・点滴

下痢が長く続く場合や重度の場合は脱水の原因となってしまうことがあります。そのため、脱水の補正や予防の目的で点滴を行うことが多いです。

・下痢止めの投与

下痢は脱水や体重減少の原因となります。そのため、下痢止めを投与してはやめに下痢を抑えます。

・整腸剤や抗菌薬の投与

腸内細菌のバランスが乱れていることが下痢の原因である場合、整腸剤や抗菌薬を投与することがあります。

・駆虫薬の投与

糞便検査で寄生虫が検出された場合には駆虫薬を投与します。一度の投与で駆虫しきれないことも多いため、複数回の糞便検査や駆虫薬の投与が必要になることもあります。

・入院治療

肝炎や膵炎、胆嚢炎などが原因の場合、入院が必要になることが多いです。入院下で静脈点滴を流しつつ、利胆剤やステロイド剤などを使用していきます。

・抗がん剤治療や手術

検査により消化管型リンパ腫などの腫瘍性病変が確認された場合、抗がん剤の投与や手術がすすめられることがあります。

 

下痢の予防

犬になるべくストレスを与えない生活を心がけることで、ストレス性の下痢は予防できます。生活リズムの乱れや急な温度変化などには特に気を付けましょう。

また、食生活も大切です。質の良いドッグフードを与えることで腸内環境の乱れや膵炎などを予防できます。シニア用のドッグフードを利用するのも有効でしょう。