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シニア期の食事について

Eating for Seniors

シニア期の食事について|前橋市のどうぶつウェルネスセンター【動物病院併設】

シニア期の
食事について

Eating for Seniors

遠くを見つめる犬

老犬の飼い主さんのお悩みとして「ごはんを食べない」や逆に「勢いよく食べ過ぎて吐いてしまう」などのお話を聞きます。そこで、今回はシニア期の食事についてお話します。

はじめに「老犬」についてですが、多くのペットフードメーカーでは7歳くらいからをシニア期と設定しています。若いと感じるかもしれませんが7歳は犬猫の平均寿命のほぼ半ばで、身体の内外では変化が起き始め健康上の大きな節目といえるからです。

老犬とひとことで言っても7~10歳までとそれ以上の犬では食事に対する注意点が異なりますのでそれぞれ解説していきます。

10歳までの
犬の食事における
注意点

10歳までの犬の食事における注意点

まず10歳くらいまでの犬についてです。この頃は筋力の低下によって運動量が少しずつ落ち、基礎代謝の低下や若いころと変わらない食事を食べ続けることによる肥満が増加してきます。
肥満の影響による病気にかかりやすくなるため、太らないよう老犬用のドッグフードに変更したり、量を調整する必要があります。

10歳以上の
犬の食事における
注意点

10歳以上の犬の食事における注意点

次に10歳以上の犬についてです。この頃からは運動量の低下、老化による筋肉減少、食事量の減少によって痩せてしまうことが多くなります。
しっかり食べて体重を維持すること、適度な運動によって筋肉量を維持することが愛犬の健康寿命をのばすことにつながります。そのためには食事の形態や食べさせ方の工夫が必要になります。今回はその工夫について詳しくお話します。

食べ方の変化の理由として、加齢によるもの以外に歯周病や内臓疾患が原因の場合もあります。
ごはんの食べ方が急に悪くなった、しっかり食べているのに痩せてきた、そんなに食べてないのに太ってきた、元気がない、嘔吐下痢しているなどの症状がある場合はまず受診をおすすめします。身体の状態にあったドッグフードを食べることで疾患の進行を抑制したり、認知症のリスクが低くなるともいわれています。

食べさせ方の工夫についてですが、まずは今現在の食べ方を観察してみてください。食べているときの姿勢、食べ方、食べきるまでの時間はどうですか?

まずお伝えしたいのは、加齢と認知機能の低下によって「食べ物を認識して食べる」という行動をとるまでに今までよりも時間がかかる場合があるということです。本人は食べる気があるのに、なかなか食べないからといって片づけてしまうことが無いように愛犬の様子をよくみてあげてください。

食べにくそうにしている場合の対処法

姿勢がキープできずに足が滑ってお尻が落ちてしまう子は、顔が上がってしまい食べられなくなってしまいます。滑りにくい床材やヨガマット、すべり止めマットを敷いたり、すべり止めのついた靴下を履かせると姿勢がキープしやすくなります。食べこぼしも増えてくるので、汚れた部分だけ掃除すれば済むジョイントマットもおすすめです。自力で姿勢キープできる子も食器の高さを立った姿勢と合わせると無理なく食べられるようになります。
高さのある食器を使うほかに、踏み台やワイヤーの植木鉢台と食器を組み合わせる方法もおすすめです。ただし、高すぎると誤嚥や完食できない原因にもなるので注意してください。高さの目安は座ったり首を曲げないでスムーズに食べられるくらいの高さです。また、認知機能の低下がある子はワイヤーの植木鉢台だと台の下に入り込んでしまう危険があるため、目を離さないように注意してください。

食事を残してしまう子に対する対処法

食器の工夫

食器の隅にごはんが残ってしまう子は、歯石やあごの開きが悪い、舌機能、嚥下機能の低下が考えられます。
角のない丸いボールのような食器だと最後まで食べやすくなります。隅に残っているごはんを食べようとして鼻を押し付けて食器ごと移動してしまうような場合は、重い食器を使ったり、重い土台にのせたり、食器の下にすべり止めを敷いて動かないようにしてみてください。食器をサークルにくくり付ける方法もおすすめです。

フードの種類を変える

ドライフードのままでは食べにくそうな場合は、半生フードにかえたり、ふやかしたり、ウエットフードと混ぜて食べやすい形状にかえてみてください。
今まで食べていた形状のままでは食べが悪くなってきたら、フードの切り替えのタイミングです。ただし、ウエットフードは水分が多い分カロリーが少なくなってしまうので量に注意してください。15歳以上の子は老犬用のドッグフードではカロリーが抑えられており栄養が足りなくなる場合があるため、おすすめできません。

盛り付け方の工夫

山型に盛ったり、高さを付けて横長に盛る方法です。頂点が食べやすいのでその部分に薬を混ぜると投薬もスムーズにいきやすくなります。
食べ進めるにつれてフードを集めたり盛りなおす必要があるので、食器は口が広いものがおすすめです。認知機能の低下がある子の場合、盛りなおすときにかじられないように注意してください。

早食いをしてしまう子に対する対処法

早食いで勢いよく食べてしまう子は、食器の内側に突起や障害物がついているものがあるのでそれらを使ったり、大きな食器を使って時間をかけて食べるようにしてみてください。ただし、食べ方を観察してあまりにも時間がかかるようになってきたら突起の少ないものに変える等状態に合わせて食器をかえていくことが大切です。

食べない子に
対して
どう対処する?

飼い主さんの介助

フードを切り替えたり、食器を工夫しても自力で食べることが難しかったり、体勢をキープするのが難しくなってきたら飼い主さんの介助が必要になります。

缶詰をぬるま湯で溶いたものやリキッドタイプのフード、嗜好性と栄養価が高いミルクを混ぜた流動食などをシリンジを使って食べさせます。シリンジは慣れないと力の入れ加減が難しいこともあるので、市販の調味料のボトルやドレッシングのボトルを使うのもおすすめです。強制給餌をするときは、正面からでなく横や後ろから食べさせるようにして、しっかり飲み込んだことを確認してから次の一口を入れるようにしましょう。

点滴などで栄養を与える

食べが悪かったり水分摂取量が少ない場合は、点滴などの医療行為の併用も視野に入れてみてください。食事時間は長くても20分以内が目安です。長時間食べさせ続けることは、愛犬の体力の消耗と食事介助をする飼い主さんの負担の面からも避けたほうがよいでしょう。

手作り食

市販のドッグフードでは食べが悪いときは手作りごはんもいいです。その際、犬は人間よりもたんぱく質を多く必要とするため、鶏肉のささみなどの良質なたんぱく質を取り入れるようにしてみてください。また、ネギ類、レーズン、ブドウ、アボカド、マカデミアナッツ、カカオ類は死亡の恐れのある危険な食材なので注意してください。

老犬の子は、今日食べたものを明日も食べてくれるとは限りません。一度にたくさんの量を用意するのではなく、何種類かの食べ物を少しずつ用意しておく方が良いでしょう。なかなか食べない状態で食いつきの良いものが見つかったとしても、一度に大量に食べると吐いてしまうこともあります。無理せず少しずつ食べさせるようにしてください。

最後に、当ウェルネスセンターでは長期のお預かりだけでなく、日中のみのお預かりや数日単位の短期のお預かりもお受けしています。
みなさんの介護のお手伝いが少しでもできればと考えていますので、お気軽にお問い合わせください。