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老犬のけいれん|ブログ|前橋市のどうぶつのウェルネスセンター【動物病院併設】

老犬のけいれん

若い犬でも病気などが原因でけいれんを起こすことはありますが、老犬ではその頻度が比較的高く、病気以外の原因でもけいれんしてしまうことがあります。老犬は若い犬と比べて体が弱いため、けいれんしているのを見ると心配になってしまうことが多いでしょう。今回は老犬で見られるけいれんのよくある原因や対処法について説明していきます。

 

老犬がけいれんしてしまう原因

老犬がけいれんしてしまう原因について、病気以外が原因のもの、病気が原因のものに分けて説明します。

病気が原因の場合

けいれんの原因となる病気として老犬に多いものには、下記のようなものがあります。

・てんかん

てんかんは、「てんかん発作」を何度も起こしてしまう病気です。てんかん発作でよくみられる症状として、けいれんが挙げられます。てんかんを引き起こす原因には様々ありますが、多くが原因不明です。脳腫瘍や脳炎がてんかんの原因となることもありますが、頻度としてはそこまで多くありません。けいれんのパターンとしては様々あり、強直性けいれんと間代性けいれんが代表的です。強直性けいれんでは体をのけぞらせ、前足と後ろ足をピーンと突っ張らせるようにしてけいれんするのが特徴的です。間代性けいれんでは前足と後ろ足を曲げたり伸ばしたりしながら足をバタバタさせてけいれんします。

・尿毒症

老犬ではすでに慢性腎臓病を発症していることがよくあります。慢性腎臓病は徐々に進行し、最終的には尿毒症に陥ってしまいます。尿毒症を発症すると、症状の1つとしてけいれんがよく見られます。尿毒症のその他の症状としては、食欲不振、口臭、血色が悪い、重度の脱水、意識の消失、呼吸促迫などが考えられます。老犬が尿毒症を発症するとその後の経過はあまり良くなく、なるべく苦しまないように緩和的に治療していくことになる場合がほとんどです。

・肝不全

肝不全を起こすと本来肝臓で代謝されるはずの物質が体内に残ってしまいます。それにより脳が障害を受け、「肝性脳症」と呼ばれる状態に陥り、けいれんをはじめとして食欲不振や沈鬱、痩せるなどの症状が現れます。肝不全はあらゆる肝臓の病気により引き起こされるため注意が必要です。

・低血糖

低血糖もけいれんの原因となります。低血糖は、栄養不足やインスリンの過剰投与、膵臓の腫瘍などにより引き起こされます。

 

病気以外が原因の場合

老化が進むと病気以外でもけいれんすることが多くなります。特によくみられる原因としては、次のようなものが挙げられます。

・筋肉の衰え

足腰の筋肉が衰えると、踏ん張る力が弱くなり、立ったり歩いたりするときに震えてしまい、けいれんしているように見えることがあります。それ自体は大きな問題にはなりませんが、そのような震えがみられるようになったら、無理な運動はさせないようにしましょう。

・寒さ

老犬になると筋肉量や脂肪の減少などにより、若い頃と比べて寒さに弱くなります。寒さを感じると、熱を産生するために筋肉を震わせます。この震えがけいれんに見えてしまうことがありあります。

・痛み

犬は痛みを感じると震えてけいれんしているように見えることがあります。体のどこかを触ると怒ったり、抱き抱える時にキャンと鳴いたりするような時には痛みを感じている可能性があるため注意が必要です。この場合、震え自体はそこまで問題ありませんが、痛みの原因をしっかり特定して治療してあげるようにしましょう。

・恐怖

犬は恐怖を感じると震えることがありますが、それがけいれんしているように見えることがあります。犬は歳を取るとそれまでと比べて怖がりになってしまうことがよくあります。そのような時にはなるべく刺激を与えずに静かにリラックスできるような環境を作ってあげるといいでしょう。

 

老犬がけいれんした場合の対処法

まずはけいれんの原因を見極める必要があります。明らかに病気以外が原因のけいれん(震え)であれば、原因を取り除いてあげればすぐに治るでしょう。しかし、病的なけいれんが疑われる場合には、動物病院を受診する必要があります。

病気が原因のけいれんであれば、けいれんの他にも次のような症状が見られることがあります。

・意識がない

・脱水がひどい

・血色が悪い

・口臭がひどい

・黄疸がみられる

これらの症状が見られるようなら、病気が原因のけいれんが強く疑われるため動物病院を受診し、検査や治療を受けるようにしましょう。

 

病院での検査・治療

けいれんの診察で動物病院にいくと、次のような検査や処置をすることが多いです。

検査

・血液検査

肝臓や腎臓、膵臓などにけいれんの原因がないかを確認します。

・画像検査

身体検査や血液検査で異常が見つかった場合には、レントゲン撮影やエコー検査などを行い、原因を精査することがあります。脳の異常が疑われる場合やこれらの検査では判断が難しい場合には、CTやMRI検査を行う場合があります。

治療

・点滴

点滴により水分補給を行います。あらゆる病気で実施することが多いです。

・抗てんかん薬

てんかんが原因の場合は抗てんかん薬を処方されます。基本的には生涯にわたって飲ませ続ける必要があります。